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Journal — N-BRIDGE BLOGAI研修

経営者こそAIを活用すべき理由。現場任せで止まる会社との差はどこか。

2026.09.09

会社で生成AIを使い始めたのに、思ったほど広がらない。

そんな相談を受けて話を聞いていくと、共通点がひとつ見えてきます。
経営者自身が、AIをほとんど使っていないことです。

先に結論を書きます。

  • 中小企業の6割超は、生成AIを会社として導入せず、使うかどうかを個人に任せています
  • 会社として導入を決めた企業は、個人任せの企業より経営への効果を実感する割合が10ポイント高い、という調査結果があります
  • 差を分けているのはIT予算や専門人材ではなく、経営者が自分で使って判断できるかどうかです

筆者(永松裕章)は大阪でAI活用支援の会社を経営しており、経営者の方と商談でお会いする機会が多くあります。
その場でよく話題になるのが、まさにこの「経営層とAIの距離」です。

現場の実感も交えて、順に解説します。

生成AIを「個人任せ」にしている会社が6割を超えています

オフィスでそれぞれのデスクに向かい、別々に仕事を進める社員たち

まず、いまの状況を数字で確認します。

帝国データバンクが2026年3月に行った調査(有効回答1万312社)では、生成AIを活用している企業は34.5%でした。
規模別に見ると、大企業の46.5%に対して、中小企業は32.4%、小規模企業は28.0%です。
(出典:帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」

ただ、この「活用している」の中身を見ると、もう一段の実態が見えてきます。

商工中金が2026年1月に中小企業3,892社へ行った調査では、「会社としては導入せず、生成AIを使うかどうかは個人の判断に任せている」という企業が64.9%で最多でした。
(出典:商工中金「中小企業の生成AIの利用にかかる調査(2026年1月調査)」

つまり多くの会社は、AIを禁止しているわけでも、会社として推進しているわけでもありません。
使う社員は自分の判断で使い、使わない社員は使わないまま、という宙ぶらりんの状態です。

これはたとえるなら、会計ソフトを入れるかどうかを社員それぞれの判断に任せているようなものです。
同じ「業務の道具」なのに、AIだけが個人の趣味のような扱いになっています。

現場任せの会社と、会社として決めた会社の差

二手に分かれていく線路の分岐点

個人任せでも、熱心な社員が使ってくれれば成果は出そうに思えます。
ところが調査の数字は、そうなっていません。

同じ商工中金の調査で、生成AIの利用が経営にプラスの効果をもたらしていると答えた企業の割合には、次の差が出ています。

  • 会社として導入した企業:34.6%
  • 個人で登録して使っている企業:24.3%

使っている道具は同じでも、会社として決めたかどうかで10ポイント以上の開きがあるという結果です。

なぜこの差が生まれるのか。
経営者の方と話してきた実感から、理由は3つあると考えています。

① 仕事のやり方を変える権限は、現場にないから

個人でできるのは、自分の作業を速くするところまでです。

工程の順番を入れ替える、書類の書式を変える、人の分担を組み替える。
AIの効果が大きく出るのはこうした「やり方ごと変える」場面ですが、それを決められるのは経営者だけです。

現場任せのままでは、効果は個人の時短で止まります。

② ルールがないと、現場は思い切って使えないから

顧客の情報を入れてよいのか。
どの業務までAIに任せてよいのか。

会社が決めていなければ、真面目な社員ほど慎重になり、使い方が小さくまとまります。

実際、先ほどの商工中金の調査でも、導入後の課題の1位は「社内ルール・方針の整備が追い付かない」(25.1%)でした。
ルールを決められるのも、経営者です。

③ 投資の判断は、経営者にしかできないから

有料プランに切り替えるか、どの業務から導入するか、いくらまでかけるか。

自分で使ったことのない道具について、この判断を下すのは難しいものです。
判断できないので「様子見」になり、様子見のまま時間が過ぎていきます。

経営者が自分で使うと、何が変わるのか

朝の机でノートパソコンと手帳を広げて仕事をする経営者の手元

商談で経営者の方とお会いしていると、AIの話の進み方には2種類あると感じます。

自分で使ったことのある経営者との商談は、話が具体的です。
「議事録はもうAIに任せている。次は見積もりの下書きを任せたい」というように、自社のどの業務に効くかという話がすぐに始まります。

一方、使ったことのない場合は、「うちの業界でも使えるのか」「詳しい社員に任せている」という、少し距離のある話から始まります。

どちらが良い悪いではありません。
判断の材料を自分の中に持っているかどうかの差です。

ここで大事なのは、経営者に求められるのは操作の上手さではない、という点です。
実際、私たちが研修を設計するときも、経営層向けは操作の練習ではなく、AIで何がどこまでできるかを読み解くことを中心にしています。

筆者自身、自社では営業の管理やこのブログの運営をAIに任せて経営しています。
自分で使ってみて初めて、「ここまでは任せられる」「ここからは人が判断する」という境目が体感で分かるようになりました。

この境目の感覚が、投資の判断や人の配置を考えるときの土台になっています。

経営者は、何から始めればよいか

会議テーブルに置かれたノートと付箋。社内の学ぶ場の準備

特別な準備は要りません。
ただ、順番だけ意識してください。

① まず、自分の仕事で30分使ってみる

会議の資料を要約させる。
取引先へのメールの下書きを作らせる。

自分の判断業務の近くで試すと、任せられる範囲が肌で分かります。
最初の30分で、AIの話が「他人事」から「自社の話」に変わります。

② 会社として「使う」と決めて、範囲を示す

入れてよい情報と、入れてはいけない情報。
まずこの2つを決めて伝えるだけでも、現場は安心して動けるようになります。

禁止でも放置でもなく、「この範囲で使おう」と会社の姿勢を示すことが、個人任せから抜ける分かれ目です。

③ 現場と一緒に、学ぶ場をつくる

経営者だけが分かっていても、現場だけが詳しくても、会社の仕事のやり方は変わりません。

研修を入れる場合は、一般的な操作説明ではなく、自社が実際に抱えている課題をAIエージェントでどう解決できるかを確かめる場にすることをおすすめします。
社員がAIの知識を身につけることは、AX(AIを前提に業務を組み立て直すこと)の最初の一歩になるからです。

研修を誰が受けるべきかについては、AI研修は誰が受けるべきかを整理した記事で詳しく書いています。

生成AIを取り入れた会社とそうでない会社の差は、ある日突然つくものではなく、日々の小さな蓄積で静かに開いていくものです。
そしてその蓄積が始まるかどうかは、現場ではなく、経営者の一歩目にかかっています。

N-BRIDGEでは、自社に合った始め方が分かるAI活用診断と、自社の課題を題材にしたAI研修を提供しています。
「何から手を付ければいいか」を考える段階からでも、お気軽にご相談ください。

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