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Journal — N-BRIDGE BLOGAI研修

AI研修は誰に受けさせるべきか。全社員・管理職・特定部署の決め方

2026.07.31

「研修はやると決めた。それで、誰に受けさせる?」

経営会議でこの質問が出ると、たいてい議論が止まります。
全社員に一律で受けさせるべきか、管理職に絞るべきか、それとも情報システム担当や若手のチームに任せるべきか。
どれにも一理あるように見えるからです。

結論を先に書きます。
最初に受けさせるべきなのは、自社の業務を一番よく理解している人です。
多くの会社では、管理職や現場のベテランがこれにあたります。
全社員一律でも、AIに詳しい若手でもありません。
理由は単純で、AIは教えた人の分身にしかならないからです。

この記事では、公的調査のデータと、筆者が自社でAIに仕事を教えてきた経験をもとに、この結論に至る筋道と進める順番を説明します。

AI研修の対象者で、成果の出方が変わる

小さな会議室で研修の対象者を話し合う様子

はじめに前提をそろえます。
AI研修は、受けて終わりにするものではなく、AIで業務を変えていく取り組み(AX)の入口です。
社員がAIの基本を知り、自社の課題がAIでどう解決できるかを見るところまでが研修の役割で、本番はその後に始まります。

だからこそ、最初に誰が受けるかが効いてきます。
最初の受講者は、研修の後に「自社のどの業務をAIに任せるか」を決める人になるからです。
ここで人選を誤ると、研修の内容は良くても、業務が変わらないまま終わります。

データで見る、生成AIの利用の偏り

俯瞰で見たデスクと資料

まず現状のデータを見ます。

総務省の令和7年版情報通信白書によると、生成AIを「積極的に活用している」または「一部の業務で活用している」と答えた企業は49.7%で、前年の42.7%から増えています。
企業単位ではほぼ半数が、何らかの形で生成AIを業務に取り入れている計算です。

一方で、働く人の側を見ると景色が変わります。
パーソル総合研究所の「生成AIとはたらき方に関する実態調査」(2025年10月実施、スクリーニング調査n=19,855)では、業務で生成AIを利用している就業者は32.4%にとどまります。
しかも職種による差が大きく、IT・開発では64.5%が使っているのに対し、事務職は28.8%、営業・販売は28.8%、生産工程・製造は21.4%です。
同じ調査では、使っていない理由として「自分の業務には必要性を感じない」「使い方がわからない」が上位に挙がっています。

つまり、会社として導入していても、使う人と使わない人の偏りは放っておくと埋まりません。
「配れば使われる」とはならないからこそ、誰から研修を始めるかという設計が必要になります。

AIは、教えた人の分身にしかならない

キーボードを打つ手元

対象者を選ぶ軸は、筆者自身の運用経験から一つに絞れると考えています。

筆者はN-BRIDGEで、営業案件の管理や記事コンテンツの制作といった自社の業務を、手順や判断基準ごとAIに教えて任せています。
毎日やって分かったのは、AIの仕事の質は、教えた人間の仕事の質で決まるということです。
「この案件は何を確認してから次に進めるのか」を言葉にして渡せた業務は、AIが安定してこなします。
逆に、判断基準を曖昧なまま渡した業務は、曖昧な結果しか返ってきません。

これを研修の人選に当てはめると、答えが見えてきます。
AIに業務を教えられるのは、その業務の判断基準を持っている人です。
どの注文なら受けるか、どの数字が出たら止めるか、どの客先には先に電話を入れるか。
こうした基準は、多くの会社で管理職やベテランの頭の中にあります。
その人たちがAIの基本を知らないままだと、会社で一番価値のある知識がAIに渡らないまま残ります。

なお、その人たちがAIの操作に慣れている必要はありません。
操作はあとから補えます。
社内にAIに詳しい人がいればその人がフォローすればよく、いなければ外部の専門家に相談すればよいからです。
業務理解は代えがききませんが、AIの使い方は代えがきく、という順番で考えると人選に迷いがなくなります。

よくある3つの選び方と、それぞれの注意点

研修会場で説明を聞く受講者

よく検討される選び方を、この軸で見直してみます。

全社員一律で受けさせる

意識づけとしては意味がありますが、最初の一手としては効率が落ちます。
先のパーソル総合研究所の調査にあるとおり、「自分の業務には必要性を感じない」と考えている人が一定数いる状態で一律に研修をしても、翌週から仕事のやり方が変わる人は限られるからです。
全社員に広げるのは、業務を知る人たちが先にAIの使いどころを見つけ、「この業務はこう変わる」という実例が社内にできてからのほうが、はるかに通りがよくなります。

AIに詳しい若手に任せる

ツールの習得は速いのですが、業務の判断基準をまだ持っていないことが多いのが弱点です。
AIに何を教えればよいかが分からないと、活用は一般的な文書作成や調べものの範囲で止まりがちです。
若手には、業務を知る人と組んで操作面を支える役割のほうが向いています。

情報システム担当に任せる

ツールの選定やセキュリティの整理には欠かせない存在です。
ただし、営業や製造といった現場の業務を変える主体にはなりにくく、ここだけに任せると「環境は整ったが使われない」という形になりやすいと考えられます。

進める順番。最初の一巡と、広げ方

上へ続く階段

以上を踏まえると、進める順番はこうなります。

1. 業務を一番よく理解している人が最初に受ける

管理職やベテランを中心に、部門を横断して数名を選びます。
役職で選ぶのではなく、「その業務の判断基準を語れるか」で選ぶのがポイントです。

2. 自社の実際の課題を題材に、AIで何ができるかを試す

一般論の講義で終わらせず、自社が実際に抱えている課題を持ち込み、それをAIエージェントがどう支援できるかを確かめるところまでやります。
ここで「この業務はいけそうだ」という手応えが生まれると、研修が次の行動につながります。

3. 見えた実例を持って、全社員に広げる

第一陣が見つけた使いどころを社内の実例として示しながら、対象を広げていきます。
実例が先にあると、「必要性を感じない」という壁を越えやすくなります。

研修を受けたあとに定着させる設計については、生成AI研修が「受けて終わり」になりやすい理由と、成果を出す設計で詳しく書いています。

まとめ

AI研修の対象者選びは、「全社員か、管理職か、特定部署か」という択一の問題ではなく、順番の問題です。
最初は業務を一番よく理解している人。
その人たちが自社の課題でAIの使いどころを確かめてから、全社員に広げる。
AIは教えた人の分身にしかならない以上、会社の業務を一番深く知る人がAIを知ることが、遠回りに見えて一番の近道です。

N-BRIDGEのAI研修は、自社が実際に抱えている課題を題材に、AIエージェントで何を支援できるかを確かめるところまでを設計しています。
対象者の選び方から相談したい場合は、AI研修の案内をご覧ください。
自社がいまどの段階にいるかを先に知りたい場合は、AI活用診断から始められます。

(著者:永松裕章|N-BRIDGE株式会社)

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