メインコンテンツへスキップ

Journal — N-BRIDGE BLOG| AI研修

AI研修は外部に頼むか、社内でやるか。内製と外部委託の分かれ目。

2026.09.30

AI研修を入れると決めたあとに、外部の研修会社に頼むか、社内でやるかで迷う会社は多いです。

結論から書きます。
分かれ目は、社内にAIに詳しい人がいるかどうかではありません。
教えたい中身が、社内にすでにあるかどうかです。

AI研修で教える中身は、大きく2つに分かれます。

  • AIそのものの知識と使い方(何ができるか、どう頼むか、何に気をつけるか)
  • 自社の業務への落とし込み(どの業務の、どの部分を任せるか)

前半は変化が速いので、外部に頼むほうが早く、確実です。
後半の材料は社内にしかないので、外部に丸投げはできません。

だから現実解は「どちらか」を選ぶことではなく、外部で始めて、社内に引き取る二段構えになります。

この記事では、筆者が中小企業向けのAI研修で講師を務めている実務をもとに、外部と内製の向き不向きと、二段構えの組み立て方を説明します。

「AIに詳しい人がいない」は、内製できない理由ではありません。

小さな事務所で打ち合わせをする3人の社員

まず、多くの会社が内製をためらう理由から確かめます。

帝国データバンクの生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)によると、生成AIを業務で活用している企業は34.5%、中小企業では32.4%でした。
同じ調査で、活用における懸念・課題(3つまでの複数回答)を聞くと、「専門人材・ノウハウ不足」が41.3%、「生成AIを活用すべき業務の範囲」が40.0%と、体制に関わる項目が上位に並びます。

教えられる人がいない。
何に使えばいいかも分からない。
この2つの悩みが、多くの会社で同時に起きているということです。

ただ、ここで分けて考えたいことがあります。
「AIに詳しい人がいない」ことと、「研修を社内でやれない」ことは、同じではありません。

AI研修で本当に効くのは、AIの知識そのものより、自社の業務にどう当てはめるかの部分です。
そしてその材料は、社外ではなく社内にあります。

AI研修で教える中身は、2つに分かれます。

朝の光のなかで二手に分かれる並木道

内製か外部かを考える前に、教える中身を仕分けします。

AIの知識・使い方業務への落とし込み
中身何ができるか、どう頼むか、注意点どの業務の、どこを任せるか
変化の速さ速い(数か月で変わる)ゆるやか(業務は急に変わらない)
材料のある場所社外社内
向いている担い手外部社内

表の左側は、教材も最新情報も社外にあります。
AIは数か月単位で新しい機能が出るので、追いかけること自体に時間がかかります。
ここは、追いかけるのを本業にしている外部に任せるほうが早く、間違いも少なくなります。

右側は逆です。
自社の受発注の流れ、見積もりの作り方、ベテランが確認している勘どころ。
これらは外部の講師には分かりません。
社内の人にしか出せない材料です。

内製か外部委託かで議論が止まっている会社は、たいていこの2つを混ぜたまま話しています。
どちらの話をしているのかを分けるだけで、判断はかなり楽になります。

外部に頼むのが向いているのは、3つの場面です。

セミナールームでホワイトボードを指す講師の手元

① 立ち上げの時期

最初に全体像をつかむ段階は、外部が向いています。
いまのAIに何ができて、何がまだ苦手なのか。
他の会社はどんな業務に使っているのか。

この土台を社内で用意しようとすると、調べる時間だけで数週間が消えます。

② 知識の更新

AIの世界は動きが速く、半年前の資料がもう古い、ということが普通に起きます。
更新を社内の誰かの仕事にすると、その人の負担が増え続けます。

③ 講師役を出す余裕がないとき

中小企業では、研修の準備に割ける人がそもそもいない場合が多いです。
比較的詳しい社員に講師役を頼むと、その人の本来の業務が止まります。

ひとつ、外部に頼むときの注意点があります。

筆者が商談で聞く相談のなかに、「以前に外部のAI研修を受けたが、期待と内容が合わず、効果を感じられなかった」という声が実際にあります。
一般論の座学を聞くだけの研修だと、受けたあとに自分の業務とつながらず、そこで止まりやすいのです。

筆者自身も外部の講師の側ですが、だからこそ研修は座学にせず、その会社が実際に抱えている課題を題材にして、参加者が手を動かし、翌日からそのまま使える形を一緒に作るところまでを設計に入れています。

外部に頼む場合は、内容が自社の業務に合わせて作られるかどうかを、金額より先に確かめることをおすすめします。
費用の考え方は「AI研修の費用相場と助成金の使い方」にまとめています。

社内でやるのが向いているのは、業務に近い部分です。

同じ画面を見ながら使い方を教え合う二人の社員

外部研修が終わったあとの日常には、社内のほうが向いている場面が続きます。

① 業務ごとの使い方の共有

週に一度、短い時間でも、うまくいった使い方を見せ合う場を作ります。
「この見積もり依頼は、こう頼むと早い」という具体的な話は、同じ業務をしている同僚の言葉がいちばん伝わります。

② 新しく入った人への引き継ぎ

自社の使い方が少しずつたまってくると、それは新人教育の教材になります。
外部の一般的な教材より、自社の実例のほうが早く覚えられます。

③ うまくいった使い方を型にして配る

個人の工夫のままにせず、頼み方の文面や手順を誰でも使える形にして配ります。
ここまでできると、研修は一度きりの行事ではなく、日常の仕組みになります。

このとき、進行役はAIに詳しい人から選ばないことが大事です。
向いているのは、その業務をいちばんよく理解している人です。

AIの使い方はあとから補えますが、業務の理解は代えがききません。
分からない操作が出てきたら、社内の詳しい人や外部の専門家に聞けば済みます。

現実解は、外部で始めて、社内に引き取る二段構えです。

朝の光が差す階段を上っていく人の後ろ姿

ここまでを組み合わせると、進め方はシンプルになります。

①立ち上げの知識と全体像は、外部から入れる。

②業務への落とし込みは、研修の題材そのものを自社の課題にして、外部と一緒に作る。

③日常の共有と引き継ぎは、社内に移す。

筆者が研修を設計するときは、終わったあとに社内で回るところまでを最初から含めます。
具体的には、業務をAIに任せられる形に分解するやり方そのものをお渡しして、社内の人が自分たちで次の業務に広げられるようにします。

研修はゴールではありません。
社員のAI知識をつける最初の一歩であり、その先には、日々の業務のなかでAIに任せる範囲を少しずつ広げていく取り組みが続きます。
研修を受けて終わりにしない設計は「生成AI研修が「受けて終わり」になりやすい理由と、成果を出す設計」に詳しく書いています。

引き取りがうまくいっているかは、研修の30日後に「教わった使い方が続いているか」を確かめる時点を先に決めておくと分かります。
続いていれば社内の仕組みに移り始めています。
止まっていれば、題材が業務から遠かったというサインなので、次の一手を打てます。

内製か外部委託かは、どちらが正しいかを決める問題ではなく、時期と中身で使い分ける問題です。
外部の速さと、社内にしかない業務の理解を組み合わせた会社から、AIは日常の道具になっていきます。

N-BRIDGEでは、企業が実際に抱えている課題を題材にしたAI研修と、研修後に社内で回る形を作るまでの支援を行っています。
自社の場合はどこから手を付けるべきかを知りたい方は、AI活用診断をお試しください。
研修の進め方はAI研修のサービスページで紹介しています。


この記事を書いた人:永松裕章。N-BRIDGE株式会社代表。中小企業向けのAI研修とAX(AIによる業務変革)支援を行い、自社でも営業管理やコンテンツ制作をAIで運用している。

ShareXFacebook

Tags

  • #AI研修
  • #内製
  • #外部委託
  • #社内講師
  • #人材育成