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Journal — N-BRIDGE BLOG| AX(業務のAI移譲)

ホームページのアクセス解析にAIをどう使うか。週次レビュー自動化の実際。

2026.10.19

ホームページを作ったものの、GA4やサーチコンソールを開くのは月に1回あるかどうか。
そんな会社は珍しくありません。

結論から言うと、アクセス解析は「人が毎週見る」のをやめて、「AIに毎週読ませて、要約を届けさせる」形にすると続きます。
筆者の会社では、自社サイトの数字をAIが毎週月曜の朝にレビューし、人はその要約だけを読む運用を続けています。

ただし、アクセス解析のデータには独特のくせがあります。
それを知らないままAIに任せると、もっともらしく見えて実は違う、というレポートができあがります。

この記事では、週次レビューを自動化した実際の運用と、つまずきやすい落とし穴、小さく始める手順を紹介します。

アクセス解析が続かないのは、見る時間の問題。

朝の机に置かれたコーヒーとノートパソコン

アクセス解析が続かない理由は、ツールが難しいからではありません。
見る時間を毎週確保できないからです。

GA4もサーチコンソールも、画面を開けば数字は並んでいます。
ただ、どの数字が自社の判断につながるのかが分からないまま画面を閉じた経験のある人は多いはずです。

筆者の会社では、この「毎週読む」部分をAIに渡しました。
毎週自動で動いているのは、次の3つです。

  • サーチコンソールとGA4のデータを毎日取り込んで貯める
  • 毎週月曜の朝、AIが1週間分を読んで週次レビューを文章で作る
  • 人はその要約を読んで、次の一手を決める

人がやるのは、届いたレビューを読んで判断することだけです。
「見なければ」という宿題が消えるので、この形にしてから数か月、一度も途切れずに続いています。

AIに書かせる週次レビューの中身。

小さなオフィスで画面を見ながら打ち合わせる2人

書かせる内容は、読んですぐ判断できる粒度に絞っています。
筆者の会社で毎週出させているのは、次の3点です。

① 全体の数字と前週比。

表示回数、クリック、セッションといった基本の数字を、前週と並べて出させます。
数字の羅列ではなく、前の週と比べてどうだったかを文章で書かせるのがポイントです。

② 動いたページと検索語。

どのページの表示が増えたか、どんな検索語で表示されたかを拾わせます。
順位が付いているのにクリックされていないページなど、次に直すべき場所の候補がここから見つかります。

実際、筆者のサイトでは、週次レビューが見つけた「順位はあるのにクリックされない記事」を翌週に直す、という回し方が定着しています。

③ 次の一手の候補。

伸びてきた検索語から次に書く記事の候補を出させたり、直すべきページを挙げさせたりします。

ここで大事なのは、AIに出させるのは候補まで、という線引きです。
どの記事を書くか、どのページを直すかは人が決めます。
数字の解釈まで全部任せてしまうと、後述の落とし穴にはまったときに誰も気づけません。

任せる範囲と人に残す範囲の考え方は、AIに頼りすぎると社員は考えなくなるのかでも詳しく書いています。

GA4とサーチコンソールに潜む3つの落とし穴。

霧がかかった朝の道路

実際に運用して分かったのは、アクセス解析のデータはAIにとって意外に罠が多い、ということです。
筆者が実際にはまったものを3つ挙げます。

① 欠測とゼロの区別がつかない。

GA4からデータを取り出すと、アクセスがゼロの日は「0」という行が返るのではなく、その日の行ごと存在しないことがあります。
取り込みに失敗した日も、同じように行がありません。

つまり、あとから見ると「アクセスがなかった日」と「データが取れなかった日」が同じに見えます。
筆者の運用でも、取り込み処理は成功と記録されているのにデータが欠けている日が見つかり、両者を区別する仕組みをあとから足しました。

② 集計開始日の違うデータを混ぜる。

サーチコンソールとGA4では、計測を始めた日が違うことがよくあります。
開始日の違う2つのデータを1つの時系列グラフに重ねると、片方がまだ存在しなかった期間がゼロとして描かれて、実際の動きと違う形のグラフになります。

AIはそのグラフを疑わずに「大きく伸びています」と書きます。
元データの期間を揃えるのは、AIの仕事ではなく、読ませる前の設計の仕事です。

③ 直近の数字は暫定値なのに、AIは断定で書く。

GA4は、データの処理に24〜48時間かかることがあり、その間はレポートの数字が変わり得ると公式ヘルプに明記されています(出典:Google アナリティクス ヘルプ「データの更新頻度」)。
サーチコンソールも、収集されたデータが表示されるまで通常2〜3日かかるとされています(出典:Search Console ヘルプ「Search Console のデータについて」)。

つまり、月曜の朝に先週分を集計すると、週末の数字はまだ確定していません。
ところが何も指示しなければ、AIは欠けたままの数字を使って「先週はアクセスが大きく減りました」と断定文で書きます。

筆者の運用では、直近の数日分が暫定であり得ることをレビュー本文に必ず注記させる形にしました。
実際に先週のレビューでも、日曜分の欠測をAI自身が「合計値は過小評価の可能性が高い」と書き添えています。

AI分析を小さく始める3歩。

階段の一段目に朝日が差す

ここまでの仕組みは、最初から作り込んだわけではありません。
手元で試すなら、次の3歩で始められます。

① まず月1回、データを書き出す。

サーチコンソールの検索パフォーマンスをCSVで書き出して、AIに読ませます。
取り込みの自動化はあと回しでかまいません。

② 読ませ方を型にする。

AIに渡す指示文を固定します。
「前月と比べて増えた検索語」「順位があるのにクリックされないページ」「次の一手の候補を3つ」のように、毎回同じ観点で書かせると、月をまたいだ比較ができるようになります。

表の読ませ方と検算の考え方は、ExcelとスプレッドシートのAI活用で書いた内容がそのまま使えます。

③ 断定させない一文を入れる。

指示文に「データが欠けている可能性があれば、必ずその旨を書くこと」と一文足します。
この一文があるかどうかで、レポートの信頼度は大きく変わります。

月1回のCSVで判断が変わる実感を持てたら、週次に上げる、取り込みを自動化する、と段階を踏めば十分です。

アクセス解析は、ツールを入れた時点では何も変わりません。
数字が定期的に読まれて、次の一手に変わる仕組みになって初めて、ホームページが育ち始めます。

その仕組みは、「毎週読む」をAIに任せられるようになった今、専任の担当者がいない会社でも現実的に持てるものになりました。

自社の業務のどこからAIを入れるか迷っている場合は、AI活用診断で現在地を整理できます。
アクセス解析に限らず、データを判断につなげる仕組みづくりはコンサルティングでも支援しています。

執筆:永松 裕章(N-BRIDGE株式会社)

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