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Journal — N-BRIDGE BLOG| 生成AI業務活用

社内の「ちょっと聞きたい」をAIに任せる。社内FAQ・AIポータルの作り方。

2026.10.20

「有給って何日前までに申請でしたっけ」「この領収書、経費で落ちますか」。

総務や情シスには、こうした「ちょっと聞きたい」が毎日届きます。

結論から書くと、この社内問い合わせの一次受けは、就業規則やマニュアルなど、すでにある文書をAIに読ませる形でAIに任せられます。

FAQを一から書き起こす必要はありません。

この記事では、仕組みと作り方の3段階、定着のコツ、そしてAIに任せてはいけない部分を、筆者が実際に支援している現場の経験をもとに解説します。

社内の問い合わせ対応は、思っているより時間を取られている

付箋とメモが残るオフィスの電話まわり。社内問い合わせは日々積み重なる

バクラクを運営するLayerXが2026年2月に行った調査(総務・人事労務・経理財務・法務・情報システム部門の担当者200名)では、62.0%が社内問い合わせ対応を負担と答えています。

問い合わせは月平均27.1件、対応時間は月平均10時間でした。

一方で、チャットボットなどの自動化ツールを使っている人は22.0%にとどまります(出典:LayerX「社内問い合わせ対応に関する実態調査」)。

ソニービズネットワークスが2025年8月に行った調査(従業員100名以上の企業の情報システム部門108名)でも、72.3%が「過去に答えたのと同じ問い合わせ」を週1回以上受けていると答えています(出典:ソニービズネットワークス「情シスの社内問い合わせ対応に関する調査」)。

いずれも問い合わせ対応ツールを提供する会社の調査なので、その点は割り引いて読む必要があります。

それでも、答える側の実感とは合っているのではないでしょうか。

1件あたりは数分でも、作業が中断されるたびに集中は途切れます。

そして聞く側にも「忙しそうで聞きにくい」という遠慮があり、確認しないまま進めて手戻りになることもあります。

FAQを書き起こさない。すでにある文書をAIに読ませる

机の上に開かれた分厚いマニュアルと積まれた冊子。すでにある文書が答えの土台になる

社内FAQというと、想定問答集を作るイメージが浮かびます。

ただ、この方式は作るのも大変で、更新が続かずに止まりがちです。

いまのやり方は違います。

就業規則、経費規程、業務マニュアル。

こうした文書をそのままAIに登録し、質問が来たら文書の中から答えを探して返させます。

このとき大事なのは、登録した文書の範囲でだけ答えるツールを選ぶことです。

NotebookLMのように、回答の根拠になった箇所を出典として示してくれる仕組みなら、答えを受け取った人が原文を確かめられます。

一般的な知識で答えてしまうAIだと、自社のルールと違う答えがもっともらしく返ってくるので、この用途には向きません。

作り方は3段階。集めて、読ませて、育てる

窓辺の小さな鉢植えに水をやる手元。社内FAQも運用の中で育てていく

① 文書を1か所に集める

社内の規程やマニュアルは、共有サーバーの奥や個人のフォルダに散らばっていることが多いものです。

まずはそれを一つの置き場に集めます。

紙しかないものはスキャンして取り込みます。

地味な作業ですが、ここが仕上がりを一番左右します。

② AIに読ませて、自分たちで試す

集めた文書をAIに登録したら、いきなり全社に公開せず、まず管理部門の数人で試します。

よくある質問を実際に投げて、答えと出典を確かめます。

答えが元の文書とずれるときは、文書側の書き方があいまいなことが多いので、文書を直してから登録し直します。

③ 答えられなかった質問を、文書に戻す

運用を始めると、AIが答えられない質問が必ず出てきます。

それは「その答えがまだ文書になっていない」という合図です。

人が答えたら、その内容を文書に追記して再登録します。

この循環ができると、FAQが運用の中で勝手に育っていきます。

定着の壁は技術ではなく、「まずAIに聞く」が習慣になるか

小さなオフィスで3人が机を囲んで話している。聞きやすい空気づくりが定着を左右する

筆者が支援しているある会社では、就業規則・FAQ・マニュアルをAIに読み込ませた社内AIポータルをすでに構築し、「困ったらまずポータルで聞く」という習慣づくりに取り組んでいます。

そこで効いているのが、「質問が他の人に見えない」ことをきちんと周知することでした。

人に聞くときは「こんなことも知らないのか」と思われる不安がつきまといますが、AIが相手ならその心配がありません。

聞くことへの心理的なハードルが下がるのは、仕組みそのものと同じくらい大きな価値です。

また、始める部門は管理部門が向いています。

理由は単純で、就業規則・経費規程・申請フローといった、答えの根拠になる文書がすでに揃っているからです。

別の支援先でも、マニュアルが未整備な部分が多く社内FAQをAI化したいという相談を受けており、困りごとはどの会社も驚くほど共通しています。

AIに任せない部分を、先に決めておく

白い紙に印鑑を押す手元。最終判断と承認は人の仕事として残す

① 最終判断と承認は人に残す

「この出張は申請してよいか」の最終判断や承認は人の仕事です。

AIに任せるのは、判断の材料になる規程の該当箇所を示すところまでにします。

② 元の文書の更新は人の仕事

LayerXの調査では、46.5%が社内のマニュアルが最新版に更新されていないと答えています。

AIは古い文書からは古い答えしか出せません。

文書ごとに更新の担当を決めておくことが、答えの正しさを支えます。

③ 答えられない質問の受け皿を用意する

AIで完結しない質問は必ず残ります。

そのときに誰へ聞けばよいかを決めて周知しておくと、問い合わせが迷子になりません。

自社の文書を眺めるところから始める

社内FAQのAI化は、大がかりなシステム投資ではなく、すでにある文書を活かす取り組みです。

就業規則とマニュアルがどこにあり、どこまで最新か。

それを眺めるだけで、最初の一歩はもう始まっています。

自社の情報をAIに読ませる考え方は生成AIの答えが一般論ばかりになる理由。自社情報を常時読ませる箱の作り方。で、社外からの問い合わせ対応はメール対応にAIをどう使うか。下書き・仕分け・返信漏れ防止の実際。で詳しく書いています。

筆者(永松裕章)は、社内AIポータルの構築支援を含め、中小企業のAI活用を伴走型で支援しています。

自社ならどこから手を付けるべきかを知りたい方は、AI活用の無料診断かコンサルティングの案内をご覧ください。

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