Journal — N-BRIDGE BLOG| AX(業務のAI移譲)
営業活動にAIをどう使うか。商談準備・記録・フォロー漏れ防止までの進め方。
2026.10.15
営業にAIと聞くと、商談の場でAIに話をさせるような場面を思い浮かべるかもしれません。
実際に効くのは商談そのものではなく、その前後の工程です。
具体的には、次の3つです。
- ① 商談の前の準備
- ② 商談のあとの記録
- ③ 記録にもとづくフォロー
この3つは時間を取られるわりに、忙しくなると真っ先に後回しになります。
そして後回しの代償は、準備不足の商談とフォロー漏れという形で、静かに売上に効いてきます。
筆者(永松裕章)は大阪でAI研修とAX支援の会社を経営しながら、自社の営業管理をAIと組み合わせて運用しています。
この記事では、その実際の運用をもとに、少人数の営業でAIに何を任せられるかを工程ごとに説明します。
① 商談準備。調べてから臨む形をつくる。

商談の準備とは、突き詰めると「相手を知って、今日決めたいことを決めておく」ことです。
ただ、1件ごとに相手のサイトや過去のやり取りを読み返す時間は、商談が増えるほど取れなくなります。
ここはAIに下調べを任せられる工程です。
相手の会社の公開情報と、こちらに残っている前回までの記録をAIに渡すと、次のような材料がそろいます。
- 相手の事業と最近の動き
- 前回までに話したこと・約束したこと
- 今日確認すべき論点の候補
筆者も商談の前に、過去の議事録をAIに読ませて「前回の宿題」と「今日決めたいこと」を1枚にまとめてから臨むようにしています。
準備にかける時間は短くなったのに、商談での質問は前より具体的になりました。
ひとつ注意があります。
AIが調べてきた固有名詞や数字は、間違っていることがあります。
商談で口に出す情報は、出どころのページを開いて確かめてから使うのが安全です。
② 商談の記録。議事録を書いて終わりにしない。

議事録づくりは、録音と文字起こしの組み合わせでAIに任せやすくなりました。
ただ、議事録はできあがった瞬間が価値のピークではありません。
そこに書かれた「宿題」と「期日」が次の行動につながって、はじめて営業の記録になります。
自社では、商談のあとに議事録をAIに読ませて、宿題・期日・次の約束を拾い出し、営業の台帳に書き足すところまでを仕組みにしています。
人がやっているのは商談そのもので、記録の整理は商談が終わった時点から自動で進みます。
議事録を次の行動につなぐ考え方は、AI議事録は書かせて終わりにしない。次の行動につなぐ使い方。で詳しく書いています。
提案書づくりでのAIの使い方は、提案書作成にAIをどう使うかにまとめています。
③ フォロー漏れ防止。期日が人を呼ぶ形にする。

フォロー漏れの原因は、担当者の能力ではなく、記憶に頼る設計にあります。
「あの件、そろそろ連絡しないと」と思い出せるかどうかに頼っている限り、件数が増えるほど漏れやすくなります。
直し方は難しくありません。
期日を記録に持たせて、期日のほうから人に知らせに来る形にすることです。
自社の運用では、こうしています。
- 宿題には期日を付けて台帳に入れる
- 毎朝、期日が近い項目の一覧が通知で届く
- 「半年後にもう一度」と言われた案件は再アタック日を入れておき、当日に知らせが来る
この形にしてから、「思い出す」という仕事そのものが消えました。
フォローの速さは相手からよく見える部分なので、少人数の営業ほど効果を感じやすいはずです。
受注に向かわない接点も数える。

工程の話から一歩引いて、記録の受け皿の話もしておきます。
営業管理表のステータスが「初回・クロージング・受注・失注」だけだと、受注にまっすぐ向かわない接点の置き場がありません。
意見交換で終わった面談や、受注後の打ち合わせが「初回」に丸められたり、そもそも記録されなかったりします。
筆者の営業管理も、最初は受注に向かう動きだけを数えていました。
実際には意見交換や研修の打ち合わせといった接点が増えていたため、ステータスを足して、それぞれを名前のある接点として数えるようにしました。
営業の型は、管理表のプルダウンに表れます。
そこに名前のない接点は、数えられていない仕事です。
AIに記録や抽出を任せる前に、受け皿のステータスが実際の営業活動に合っているかを一度見直しておくと、その後の記録が正確に積み上がります。
商談に集中できる営業へ。

AIが営業を代わるわけではありません。
相手と向き合う商談は人の仕事のままで、その前後の準備・記録・フォローをAIと仕組みが支える、という分担です。
最初の一歩は小さくて構いません。
直近の商談の議事録やメモをAIに渡して、「宿題と期日を拾い出して」と頼んでみてください。
戻ってきた一覧が、そのままフォローの出発点になります。
自社の営業プロセスのどこからAIを入れるかを整理したい方は、AI活用診断で現在地を確かめられます。
進め方を相談したい場合は、コンサルティングもご利用ください。
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