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Journal — N-BRIDGE BLOG

ラストワンマイルは人が作る ― AI時代に価値を生むのは、最後の30点

AIで作れるのは一般論の「70点」まで。誰もが作れる文章は、伝わらず記憶にも残りません。残り30点に思いを込める「ラストワンマイル」とは何か。メール・報告書・企画書の具体例から、AI時代に人が生む価値を考えます。

2026.06.04

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AIを使う場面が、急速に増えてきました。CopilotやGoogle Workspaceで、メールの下書きや企画書のドラフトを作らせる。
こうした使い方はすっかり広まり、業務効率という意味では本当に素晴らしいことだと思います。
私自身、N-BRIDGEのAI研修でも「どんどん使いましょう」とお伝えしています。

ただ、いくらAIが優秀でも、出てくるのは一般論としての「70点」まで。これが正直な実感です。

AIにも限界がある

AIが作る文章には、こんな特徴があります。

  • スピードは圧倒的 ― メールの下書きなら数秒で整った文章が返ってくる
  • でも、自分の言葉じゃない ― きれいなのに、どこか魂が乗っていない
  • 誰もが作れてしまう ― 同じような事務的な文章が世の中にあふれる

その結果、かえって伝わらないし、記憶にも残らない。
なぜなら、そこに「自分」がないからです。
語尾を整える程度では、その人らしさも、思いも、個性も乗っていません。

だからこそ、残りの30点に何を込めるか。それを格好よく言ったのが「ラストワンマイルは人が作る」というメッセージです。
研修資料の最後のページにも、必ず入れています。

メールの場合 ― 事務連絡に、ひと言を足す

「お世話になります、N-BRIDGEの永松です」から始まり、提案書の案内をして、「ご確認よろしくお願いします」で締める。
この一連は、AIがきれいに作ってくれます。
でも、とても事務的です。

そこに、ひと言足してみる。

  • 「先日◯◯さんが最後におっしゃっていた一言が、心に残っています」
  • 「その思いを受けて、今回の提案書を作りました」

こう添えるだけで、文章に温かみが出るし、相手も打ち合わせのときのことを思い出してくれます。

もちろん、すべてを丁寧にする必要はありません。
使い分けが大切です。

  • 事務連絡で済ませる場面 ― 打ち合わせURLを送るだけなら「URLお送りします」でOK
  • 思いを込めたい場面 ― 打ち合わせのお礼、提案書をお出しするときは、ひと言添える

報告書の場合 ― 言葉選びと、提案までの流れ

調査レポートなどをAIに任せると、けっこう辛辣な言葉を使ってきます。
たとえば「◯◯株式会社の商品は、他社に比べて価値が低い」というように。

事実としてはそうかもしれない。
でも、そのままお客様には出せません。書き直すなら、こう変えます。

  • 避けたい表現:「他社に比べて価値が低い」
  • 望ましい表現:「現時点で競合に対する優位性は出せていません。ただ、ここには勝ち筋があります」
  • 望ましい表現:「この点を改善すれば、新たな差別化を図れるかもしれません」

AIには難しいのは、次のような部分です。

  • 相手との関係性や、その場の温度感をくみ取ること
  • 敬意を持った言葉を選ぶこと
  • 数値やファクトに、見解を添えて提案へつなげること

数値はAIが出してくれる。
でも、そこにどんな見解を添え、どう提案につなげるか。

この流れこそ、報告書におけるラストワンマイルです。

企画書の場合 ― 原体験と熱量を込める

企画書も同じです。
叩き台ならAIが十分に作れますし、たくさんの案を出してくれるので「これいいな」と思うこともある。
テクノロジーの進歩として、本当にありがたい。

でも、それをそのまま出しても、こうした問いには答えられません。

  • 「なんでこれをやりたいの?」
  • 「これって本当にうまくいくの?」

企画には、ネガティブなフィードバックがつきもの。
そのとき必要なのは、AIには込められない「人の言葉」です。

たとえば、こんな原体験があったとします。

  • お酒が飲めなくて、みんなと飲みに行けず、寂しい思いをした
  • だから「飲めなくても、お酒の場で一緒に楽しめるものがあったらいいな」と思った

この原体験があれば、商品にも熱量が乗るし、共感してくれる人も現れます。

理屈は語れても、作り手の原体験や熱量は、AIには込められないのです。

浮いた時間を、「自分を込める時間」に

70点まではAIが持ってきてくれる。
でも最後の30点 ― ラストワンマイルをうまく作れる人こそ、本当の意味でAIを使いこなす人です。

ここで、時間の使い方を考えてみてください。

これまで1時間かかっていた作業が、AIで10分でできるようになる。
でも、そこで終わらせない。
浮いた時間の一部 ― たとえば30分を、自分の思いを込める時間に充てる。

すると、こんな違いが生まれます。

  • 効率だけ追う場合 ― 10分で完成。でも楽をした分、できあがりの価値も下がる
  • 思いを込める場合 ― 40分かかっても、1時間かけていたとき以上の価値が出る

最後に、今日から試せることを一つ。

メールが1分でできるようになったなら、2分かけてもいい。
最後にひと言、相手のことを思って書き足してみる。

それだけで、より良いAIの使い手になれるはずです。
AIでいろんなことができるようになったいまだからこそ、最後のラストワンマイルに、あなた自身を、あなたの考えを込めていく。

そこに時間をかけることが、これからの価値になっていくのだと思います。

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