学歴社会は続くのか?――教育の話を、社会構造から問い直す|N-BRIDGE STUDIO EP1 【N-BRIDGE RADIO #5】
「学歴社会は、これからも続くのか?」
この問いは、教育の話題として語られることが多い一方で、
本来は社会構造の問題でもあります。
今回の N-BRIDGE STUDIO では、
「塾!ONE CHANCE」代表の祝原智仁さんを迎え、
教育の現場とビジネスの視点を交差させながら、
この問いについて対談を行いました。
本記事では、その前半部分をもとに、
対談の流れを整理しながらお届けします。
対談の内容はこちらから。 [Apple Podcast / Spotify]
20年前と今、子どもを取り巻く環境はどう変わったのか

対談は、20年前と現在の教育環境の違いから始まりました。
祝原さんがまず挙げたのは、
「子どもは何をしていても認められる」方向に教育が変わってきている、
という点です。
学校では、先生が強く叱ると、
今度はその先生自身が注意されるような場面も増えています。
結果として、叱ること自体が難しくなり、
勉強していなくても強く怒られない状況が広がっている。
その一方で、子どもたちは
「自分は存在していても大丈夫なんだ」という安心感を得ている。
それは一般に言われる自己肯定感とは少し違うものだ、
という話がありました。
親が変わったのではなく、公教育が変わった

では、親の意識は大きく変わったのか。
この点について祝原さんは、
「親そのものが大きく変わったというより、
公教育の場が変わった影響が大きい」と語ります。
家庭環境は20年前も今もさまざまで、
出産時期や家庭の価値観によって差はあります。
ただ、公教育の現場では、
- 親の意見
- まだ自我が十分に育っていない子どもの意見
が強く反映されるようになり、
それが現場の先生を疲弊させている側面がある。
叱れない環境が、
結果として「言うことを聞かせる教育」につながり、
その循環ができてしまっているのではないか、
という指摘でした。
ONE CHANCEが大切にしている「考えること」

そうした状況の中で、
塾 ONE CHANCE ではどのような教育を行っているのか。
祝原さんが最も大切にしているのは、
「考えること」です。
それは単に勉強の問題を解くという意味ではなく、
- なぜそうなるのか
- なぜそう考えるのか
といった理由を考えること。
理科の授業を例に挙げながら、
「なぜ生きているのか」「なぜこう動くのか」
そうした問いを通して、
考える習慣を身につけてもらうことを意識していると語りました。
暗記が主流になっている私教育の現状

一方で、現在の私教育全体については、
暗記に偏りがちだとも感じているそうです。
対策プリントを配り、
それを覚えれば誰でもできるようになる。
その仕組み自体は整っている一方で、
- 答えをすぐに求める
- 考える前に覚える
という姿勢が、
20年前よりもさらに強くなっているといいます。
ONE CHANCE では、
最終的には覚えるところまで行くものの、
その過程で「理由を説明できるか」を重視しています。
ただし、暗記に流れる傾向を修正するのは、
決して簡単ではないとも率直に語られました。
学歴の意味は、本当に変わったのか

話題は自然と「学歴」へと移っていきます。
祝原さんの実感としては、
学歴の意味そのものは、
そこまで大きく変わっていない、というものです。
ただし、変わった点もあります。
それは学歴の作りやすさです。
少子化や中間層の減少により、
かつては限られた層のものだった大学も、
以前より狙いやすくなっている。
一方で、保護者世代、
特に40代・50代の学歴に対するイメージは、
あまり変わっていない。
その結果、
「思っていた人材と違う」というズレが、
企業側で起きやすくなっているのではないか、
という話がありました。
学歴は「通過点」であり、「名札」でもある

ONE CHANCE では、
高校や大学について次のように伝えているそうです。
- 高校は通過点
- 学歴として意味を持ちやすいのは大学
ただし、偏差値の高い高校に行くことが目的ではありません。
子どもの性格や成長段階に応じて、
- ギリギリで入って伸びる子
- 自分のペースで進んだ方がよい子
それぞれに合った選択を勧めています。
また、学歴は社会に出たあと、
自分を説明するための「名札」として機能する場面がある。
だからこそ、やりたいことがあるなら、
名前の通った大学に行くことが有利になることもある。
一方で、
やりたいことがないまま大学に行くのは違う。
そのためにも「考えること」を大切にしている、
という話でした。
ビジネスの視点から見た「学歴」と仕事

hirotoからは、
ビジネスの現場で学歴がどう見られているか、
という話も共有されました。
履歴書を見る際、
最初の判断材料として学歴を見る場面は、
今も少なくありません。
ただし、入社後に仕事ができるかどうかは別の話であり、
学歴はあくまで最初の入口として機能している、
という実感です。
その一方で、
社会全体では変化も起きています。
これまで主流だったホワイトカラーの仕事は、
AI や DX の進展によって、
徐々に不要になりつつある。
実際に、海外ではリストラが進み、
日本でも40代・50代を中心とした構造変化の兆しが見え始めている。
一方で、職人や現場仕事の価値は上がり、
給料が上昇している分野も出てきている。
ホワイトでもブルーでもない働き方

hirotoは、
これから増えてくる存在として
「ライトブルーカラー」という言葉を使いました。
デスクワークだけではなく、
人と会い、話し、考え、手を動かす。
営業やコンサルの仕事も、
実感としてはブルーカラーに近い側面がある。
事務作業だけをしてきた人が、
そのままでは生きにくくなる一方で、
- 考えられる
- コミュニケーションが取れる
そうした人材は、
今後も必要とされていくのではないか。
この変化は、
今の中学生・高校生が社会に出る頃には、
よりはっきりした形になっているだろう、
という見立てが語られました。
前編のまとめ

前半の対談では、
- 教育現場の変化
- 暗記偏重への違和感
- 学歴の意味と、その使われ方
- 社会構造と仕事の変化
について、実感ベースの話が交わされました。
学歴は、能力そのものではありません。
一方で、社会の中で機能してきた役割があり、
それが今、変わりつつある。
ここから先の後編では、
この時代を生きる子どもたちに、
どんな力が求められるのか。
教育と家庭の視点から、
さらに話が深まっていきます。
対談の内容はこちらから。[Apple Podcast / Spotify]

